出かけた時に、財布にお金がないと不安になる方が多いと思います。同様に、生活していくなかで、貯金がないとやはり不安を感じる方も多いと思います。貯金がない場合のリスクや貯金の方法について考えてみます。
SMBCコンシューマーファイナンスの2021年3月の「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2021」によりますと30・40代で貯金ゼロの人は16.7%、貯蓄額100万円以下は5割となっています。また知るぽると(金融広報中央委員会)の2017年1月の「金融調査」で金融資産を保有していない世帯は全体で46.4%あり、20代のうち61%が資産を保有していない調査結果が出ています。貯金がない人が一定割合いることが調査データに表れています。
では、もし貯金がない場合に起こりうるリスクにはどのようなものがあるのかを考えてみます。
万一不測の事態が起きた時に、生活ができなくなるリスクがあります。不測の事態とは、以下の例が考えられます。
1) 勤務先の倒産や整理解雇の場合
雇用保険加入者は失業給付がすぐに給付されますが、今までの給与相当額は給付されないので、生活費に不足が生じます。雇用保険の適用がない、パートタイマーやアルバイトの方の場合には公的保障がありません。
2) 勤務先を自己都合で退職
雇用保険加入者は自己都合退職の場合に、3ヵ月の給付制限期間があるので、貯金がないと生活ができなくなります。
3) 傷病などで会社を休む場合
傷病などの欠勤により給与が減額される場合は、健康保険加入者には傷病手当金制度がありますが、給与の2/3程度の給付となり、生活費の不足が生じます。また、個人事業主や健康保険に加入できない方は、傷病手当金制度がそもそもないので、生活がすぐに成り立たなくなります。
4) 傷病などで入院・手術をする場合
事前に、加入する健康保険組合などに高額療養費制度の限度額適用認定証を発行してもらえば、一定額以上の自己負担(一般的な収入者の場合は8万円プラスアルファ程度)はなくなります。ただし、上記自己負担額、差額ベッド代および食事代の負担があるので、貯金がないとその分が払えません。
上記2の万一不測の事態が発生するリスクを考えますと、貯金があれば、当面は生活を維持していかれるので、やはり、貯金があることがとても重要です。ただし、やみくもに貯金をするのではなく、具体的に目標額を決めて貯金をしていくほうが貯まりやすくなります。例えば、まったく貯金がない人は、自己都合で退職した時の失業給付には3ヶ月間の給付制限期間があるので、生活費の3ヶ月分から6ヶ月分を目標にしてみるなどの目標設定です。
次に、計画的に貯金をする方法を考えてみますと以下のとおりです。
1) 貯金可能額を検討
最初に、ご自身の生活費の中からいくらくらい貯金ができるのかを検討します。毎月の生活費がギリギリの場合は、減額できそうな費目を考えます。減額可能な費目は、最初に固定費から考えます。固定費が減額できるとその分を毎月しっかり貯金に回せます。通信費・生命保険料の見直しなどがポイントです。固定費の減額が難しい場合、変動費である食費で、外食が多くないか、コンビニで購入する割合が高くないか、惣菜を手料理できるものはないかなど、ご自身の生活を振り返って検討し、貯金可能額を捻出していきます。
2) 確実に貯金できる仕組みを検討
貯金可能額が捻出できても、実際に貯金に結びつかないと絵に書いた餅になります。貯金する計画を立てても、計画通りに実行できないことがよく見られます。私たちは、「今」を基準に将来を考えますが、どうしても将来のことを甘く見積る傾向があります。貯金で考えますと、万一失業した時の備えや、老後のために貯金を考えた時に、失業は不確実なこと、若い方にとっての老後は遠い将来のことととらえて、「まだ、いいだろう」、「来月から始めよう」と甘く見積もった考えに陥ります。給料日以後生活して余ったらその分を貯金する考え方も同様で、お金が余っていると「今」を優先して何となく遣ってしまう傾向が出てしまい、この方法での成功事例はあまり聞いたことがありません。では、確実に100%貯まる方法は、給料日ないしは給料日の翌日に貯金可能額を貯金することです。さらに自動天引き制度を活用すれば、わざわざ金融機関に行って預入する手間が省けますし、絶対確実に貯まります。
貯金のない方が、今から貯金を始めて10年間貯蓄したらどのくらい貯まるのかを考えてみます。
例えば、毎月1万円が貯金可能額としますと、定期預金で積立した場合、元金は年間で12万円、10年間で120万円貯まります。これに利息が若干つきます。
以下に金利に応じて10年間でどのように貯まるかを表示してみます。
年間積立学 | 金利0.001% | 金利0.1% | 金利1.0% | 金利2.0% | 金利3.0% |
---|---|---|---|---|---|
12万円 | 120.0万 | 120.6万 | 125.5万 | 131.4万 | 137.6万 |
24万円 | 240.0万 | 241.2万 | 251.1万 | 262.8万 | 275.1万 |
36万円 | 360.0万 | 361.8万 | 376.6万 | 394.2万 | 412.7万 |
48万円 | 480.0万 | 482.4万 | 502.2万 | 525.6万 | 550.3万 |
60万円 | 600.0万 | 603.0万 | 627.7万 | 657.0万 | 687.8万 |
※年間積立額を年1回定期的に複利で10年積立した場合で試算
現在の低金利下での貯金は、金利で増やすことは難しいです。まずは、一定額を貯めることを目標にして、貯まったら多少のリスクをとってもよいのであれば、投資方法を検討してさらに資産形成の道に向かって進めてみてください。
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