イデコ(iDeCo)が「やばい」という情報を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。この記事は、イデコがなぜやばいのか疑問に思っている人に向けて、イデコの言葉の意味や、詳細を解説します。イデコの危険性なども解説しますので、これからイデコを始めたい人も、ぜひ参考にしてください。
イデコ(iDeCo)がやばいといわれる理由について解説します。ただし、制度の内容や手数料等は2021年7月現在のものです。
イデコ(iDeCo)とは個人型確定拠出年金のことです。20歳以上60歳未満であれば誰でも加入可能で、負担額や投資先は個人で選択できます。
イデコの大きなメリットは税制上有利になる点にあります。掛け金は所得控除になるうえ、運用益は非課税です。さらに、老後に受け取れる受取金は公的年金等控除、退職所得控除の対象となります。
イデコが「やばい」のではないか、という意見は、イデコのリスクやデメリットを理解しきれていないのにも関わらず、イデコを始めてしまった人がいることが原因ではないか、といわれています。そのため、イデコでやばい思いをしないためには、イデコのメリットだけではなく、デメリットもしっかりと理解する必要があるでしょう。
イデコのデメリットについては、以下で解説します。
何も知らずにイデコを始め、「やばい」ことにならないようにするためには、次のデメリットについてよく知っておいてください。
イデコは掛け金の全額が所得税控除となりますが、これはメリットにならない人もいます。たとえば、50代の人は60歳になるまでの10年未満という、比較的短期間しか積み立てできません。また、所得が少なくもともと所得税の支払いが少ない人も、所得税控除の恩恵は少ないでしょう。
そのほか、所得税控除により厚生年金のランクが下がる場合もあります。そうなると、支払う社会保険料も下がりますが、もらえる年金も減ってしまい、老後のためのイデコであるのに本末転倒になるかもしれません。
ただ、イデコがメリットになるかデメリットになるのかは個人によって変わります。自分のケースではどうなるのか、よく考えてから検討してみてください。そのほかのデメリットは以下のとおりです。
イデコを行うためには、さまざまな手数料が必要となります。手数料の額は支払う金融機関によっても変わりますが、最低額は月額167円です。支払う手数料額をなるべく低くするためには、手数料が安い金融機関を選ぶようにしてみてください。
イデコでは、運用商品の選択、投資や銀行の手続きはすべて自分で行います。知識があまりない人の場合は投資に関する勉強が必要ですし、慣れない手続きに時間や手間がかかるでしょう。
イデコは比較的リスクの少ない投資方法ではありますが、必ず掛け金分は戻ってくるわけではありません。元金保証はされませんし、逆に資産がマイナスとなる可能性もあるでしょう。
イデコは一度始めると、原則60歳まで引き出すことはできません。そのような制限があるにも関わらず、60歳のときに期待通りの金額を受け取れない可能性もあります。
イデコは、支払う所得税や住民税を、退職金や年金を受け取るときまで先送りにするという側面があります。そのため、退職金受取時に税金の支払いが発生するかもしれません。
イデコの掛金変更は年に1度までしかできません。そのため、出産や住宅の購入など、大きな出費があったとしても拠出額はそのままです。急な出費に備えて別立ての資金計画が必要でしょう。
イデコの手続きはオンライン完結型ではなく、書面による申込みも必要です。手元には書類の写しを用意しなければなりません。企業型から個人型に移管するときなど、申込みや書類の送付などで、手間がかかります。
また、イデコは転職時にも手続きが必要です。転職先で企業型確定拠出年金に変更する場合、一度資格喪失届けを提出し、移管手続きを行います。
イデコは自由にファンドを選べますが、これには制限があります。金融機関が提示する1つのプランにつき、選べるファンドは35本までです。そのため、ファンドを選び、カスタマイズする楽しみに関しては、イデコ以外の投資方法のほうがよいかもしれません。証券会社によっては、イデコは個別商品の推奨はできない、とされています。
あくまで参考ですが、住宅ローン控除を受けているときにイデコを併用するメリットやデメリットを解説します。
イデコは所得税控除を受けられるというメリットがあります。ただ、住宅ローンも住宅ローンの残額に応じて所得税控除を受けられるもので、両方併用すると所得税が控除しきれない場合があります。ただ、控除しきれなかった分は住民税からも控除可能です。
支払う所得税が多い場合は、所得税や住民税から無駄なく控除出来る可能性もあるため、住宅ローン控除とイデコを併用するメリットはあるでしょう。
住宅ローン控除が終了してからイデコに加入する、という方法もありますが、その間の運用益を得たほうが結果的に得となる可能性もあります。
住宅ローン控除とイデコを併用することで、所得税や住民税を控除しきれなくなる、というデメリットのほか、住宅ローンの繰り上げ返済がしにくくなるという懸念点もあります。イデコは引き出しや拠出額の変更はしにくいため、住宅ローンの支払いにイデコの拠出分はまわせません。
イデコで「やばい」と感じたないためには、以下の注意点に留意し投資してください。
イデコがメリットとなるのか「やばい」ものとなるのかは、その人の所得額や住宅ローンの利用状況などによって変わります。上記で解説しましたが、50代から始めようとする人や、控除する所得税がそもそもない人にとっては、メリットが薄いこともあるでしょう。自分にとって本当に節税効果があるかどうか、確かめてから始めるようにしてください。
イデコは所得税控除を受けられますが、何もしなくても自動的に受けられるわけではありません。年末調整や確定申告の際に、手続きや申請を行わなければ所得税が控除されないため、注意してください。手続きを行わないと、支払わなくてもよい税金を払うことになってしまいます。
イデコを一時金受取りとする場合は退職金として、年金として受取るときには雑所得として扱われます。退職金や雑所得は、金額によって課税の対象となります。そのため、イデコの受取金額が多ければ、税金の支払いが発生することになるでしょう。
イデコでは、支払いや受取りのときに手数料が発生します。金融機関によって手数料は異なります。手数料の額や運用益によっては、手数料の支出のほうが多い場合もありえるでしょう。拠出するタイミングを月ごとではなく年ごとにする、60歳のときに一括受取りにするなどの対策が有効です。
イデコは金融機関を通じて保険、定期預金、投資信託を選べます。そのなかでも、投資信託は経費率が高い投資方法です。そのため、投資信託を選択すると経費の支払いが負担になるかもしれません。ただし、ほかの2つよりも高いリターンを得られる可能性はあります。
イデコでは、拠出額の変更は年に1回しかできません。そのため、教育資金が必要となる子育て世代は、ほかの出費との兼ね合いを考え、慎重に拠出額を決定しましょう。
イデコでは、約1%の特別法人税があります。こちらは、2021年7月現在凍結中で、支払う必要のないものですが、いつか復活する可能性はゼロではありません。
投資額を変更できず所得税控除ができるイデコは、収入が安定していて、所得税の支払い額が高い高所得者に向いている投資方法といえるでしょう。逆に、収入が安定せず拠出できない月がある可能性がある人、控除する所得税がほとんどない人にはおすすめできません。
また、イデコは長期的な投資となるため、老後までのマネープランをしっかりと立てられる人でなければ、総合的な判断は難しいかもしれません。場合によっては、ファイナンシャルプランナーなどに相談したほうがよいでしょう。住宅ローンや教育費の支払いも視野に入れる必要があります。
また、退職金がない自営業の人も、老後資金を貯めるためにイデコを利用してもよいでしょう。
ただし、どのようなケースでも、イデコを安易に加入することはおすすめできません。なぜイデコを始めるのか、目的を明確にし、制度の特徴をしっかり理解するようにしましょう。投資はどのようなものもリスクがあります。デメリットも理解し、総合的な判断をしてください。
節税目的でイデコを始めたいという場合は、他の税制制度のほうが、節税効果があるかもしれません。節税できる税制には、生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税など)等さまざまです。節税できる投資方法として、NISAもあります。
イデコを利用したほうがよいのかどうかは、その人の収入や状況、家族の人数などによって大きく変わります。イデコではなく銀行への預金でもよいかもしれません。
どの節税制度を利用すべきか判断するためには、税金の仕組みを理解する必要があります。賢く節税し、資産形成するためには、お金についてしっかりと学びましょう。
イデコに関して、年金の支給額の不安、住宅ローン控除とはどのように兼ね合いをとるか、転職時の手続方法など、さまざまな疑問があるでしょう。イデコ以外にも、今後の資産運用の方法に迷うこともあるかもしれません。
こういった場合はファイナンシャルプランナーへの相談がおすすめです。ファイナンシャルプランナーへ無償相談ができるセミナーもあるため、ぜひ積極的に参加してみましょう。すでに加入している制度が、コロナ禍でどう変わるのか不安がある人も相談してみてください。
イデコは「やばい」のではないか、と思う人もいますが、デメリットやリスクをしっかりと理解すれば、「やばい」ものとは限りません。人によってはイデコを始めたほうがよい人もいるため、この記事をきっかけに検討してみてはどうでしょうか。
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