NISAに取り組みだして間もない時期に、確定申告の必要性に悩む人もいるかもしれません。NISAで得た利益は、基本的に確定申告が不要です。
ここでは、NISA初心者に向けて、NISA口座の種類別非課税枠や運用のポイントなどを解説します。NISA以外の証券口座についても、確定申告などの情報を紹介するため参考にしてください。
NISAで得た利益は、確定申告しなくてかまいません。確定申告が不要な理由について、確定申告の目的を踏まえて解説します。
NISAで確定申告が不要となる理由は、NISAで得た利益が非課税であるためです。一般的な投資で得た利益は課税対象であり、確定申告や源泉徴収などによる納税が義務づけられています。課税により手元に残る利益は減ってしまうため、残念に感じる人も少なくありません。
NISA口座であれば利益を丸々得られるため、大いに魅力的な投資手段といえます。
確定申告とは、納税者が年間の所得や所得控除を報告する行為です。会社員のように雇用されている立場であれば、勤め先が年末調整を行い本人のかわりに税金を納めてくれます。しかし、自営業やフリーランスなどは、自身で確定申告をせねばなりません。
また、年末調整を受けられる人でも、医療費控除のような特別な所得控除を受ける場合や、副業による所得があるなどの場合は、確定申告が必要です。
NISAで得た利益は非課税対象です。被扶養者がNISAでどれほど利益を得たとしても、納税者は扶養控除を受けられます。安心して投資に取り組みましょう。
扶養控除を受けられると、納税者は38万~63万円の範囲で所得控除を受けられます。非課税なうえに扶養控除も受けられるNISAは、世帯年収を引き上げる可能性の高い投資手段といえます。
※参考:No.1180 扶養控除│国税庁
NISA以外の通常の証券口座には一般口座と特定口座があります。また、特定口座は源泉徴収される口座、されない口座の2種類です。
NISA口座は、一般的なNISA口座のほかに、つみたてNISA口座、ジュニアNISA口座があります。いずれも非課税なので、確定申告も納税も不要です。ただし、非課税枠や運用できる期間、投資対象となる金融商品は口座の種類によって異なります。そのため、それぞれのNISA口座を比較して、自分にあった口座で運用することが大切です。
金融庁の情報をもとに、2021年時点におけるNISAの3種類の非課税枠について解説します。
NISAは日本国内に住所がある20歳以上が対象で、外国籍の人でも居住を証明できれば口座を開設できます。NISAの非課税期間は最大5年間です。非課税投資枠は毎年120万円が上限であり、5年経過すると最大で600万円分の投資が非課税対象になります。投資対象商品は、国内外株式・株式投資信託・ETF・ETN・REIT・ワラント債です。
なお、NISAは2023年までの制度です。2024年以降は新制度となり、非課税投資枠や投資対象商品が変わります。
※参考:NISAの概要│金融庁
NISAと同じく、つみたてNISAは、日本国内に住んでいる20歳以上の人が対象となります。つみたてNISAの非課税期間は最大20年間です。非課税投資枠は毎年40万円が上限であるため、20年経過すると最大で800万円分の投資が非課税対象になります。投資対象商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託です。
つみたてNISAは、2024年の法改正でほぼ変化しません。2023年中につみたてNISA口座を開設すると、2042年まで非課税で投資可能です。
※参考:つみたてNISAの概要│金融庁
ジュニアNISAを利用できる人は、日本に住む0~19歳の人です。ジュニアNISAの非課税期間は最大5年間です。非課税投資枠は毎年80万円が上限であり、5年経過すると最大で400万円分の投資が非課税対象になります。投資対象商品は、国内外株式・株式投資信託・ETF・ETN・REIT・ワラント債です。
ジュニアNISAは教育資金の確保に向けて利用されやすく、口座開設者が18歳を迎えなければ原則払い出せません。なお、2024年の法改正にてジュニアNISAは廃止されます。
※参考:ジュニアNISAの概要│金融庁
NISAの種類別非課税枠について、2021年時点の情報を以下にまとめました。
NISA |
つみたてNISA |
ジュニアNISA |
|
---|---|---|---|
利用できる人 |
日本国内にすむ20歳以上の人 |
日本国内にすむ20歳以上の人 |
日本国内にすむ0~19歳の人 |
非課税期間 |
最大で5年間 |
最大で20年間 |
最大で5年間 |
非課税投資枠 |
毎年120万円 |
毎年40万円 |
毎年80万円 |
払出制限 |
いつでも可能 |
原則18歳まで不可 |
|
非課税にできる最大投資額 |
600万円 |
800万円 |
400万円 |
投資対象商品 |
国内外株式・株式投資信託・ETF・ETN・REIT・ワラント債 |
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
国内外株式・株式投資信託・ETF・ETN・REIT・ワラント債 |
証券会社では、NISA以外の口座も開設できます。口座の種類別に、確定申告の要不要について解説します。
源泉徴収とは、投資を通じて得た利益から、税金が自動的に差し引かれる仕組みです。「源泉徴収ありの特定口座」を選ぶと、証券会社が納税手続きをしてくれるため確定申告は不要です。ただし、損失を出した場合は確定申告をしましょう。払いすぎた税金が還付されると、払いすぎた税金が戻ってきます。
確定申告の手続きに自信がない人や、会社員のように年末調整をしてもらっている人には、源泉徴収ありの口座がおすすめです。
源泉徴収なしの口座で取引をする場合は、確定申告をしたうえで、納税をする義務があります。確定申告の書類を作る際は、証券会社から届く年間取引報告書をもとに売却損益を確認してください。年間取引報告書は、確定申告の対象となる翌年の1月頃に発行されます。
利益が少なければ確定申告が不要になる場合もあります。ただし、住民税の申告義務は忘れないようにしましょう。
一般口座で配当金や譲渡益を得た場合も、確定申告をしたうえで納税しなければなりません。
一般口座では特定口座では扱えない金融商品を取引できますが、年間取引報告書が発行されない点に注意しましょう。損益を自分で計算しなければならないため、活発に取引をする人は帳簿付けが大変かもしれません。投資初心者は、納税の観点からすると特定口座を選ぶほうが無難です。
前述したとおり、NISA口座・つみたてNISA口座・ジュニアNISA口座は、いずれも利益や配当金、分配金が非課税です。確定申告をする手間が省け、納税の義務もありません。また、NISAでいくら利益を得ても扶養控除を受けられます。
利益が非課税となり効率よく資産を増やせるNISAは、少額からの投資におすすめの投資方法といえます。ただし、非課税のメリットを存分に享受するためには、投資で利益を出すことが重要です。運用次第では損をする可能性もあるため注意しましょう。
確定申告以外にも、NISAを運用するうえで押さえておきたいポイントがあります。配当金や損益通算など、具体的な内容を紹介します。
NISAで投資をして配当金をもらう場合に、受取方法によっては配当金が課税対象になってしまいます。非課税で配当金を受け取るためには、「株式数比例配分方式」を選択しましょう。
株式数比例配分方式とは、取引をしている証券口座に配当金を振り込んでもらう方法です。NISAの場合は、NISA口座に振り込まれるように設定してください。
ちなみに、源泉徴収ありの特定口座で取引をしている場合も、株式数比例配分方式でなければ配当分の確定申告が必要になります。
損益通算とは、事業や投資による利益と損失を相殺する仕組みです。損益通算をすると、課税所得を減らせるメリットがあります。なお、損益通算の対象は、事業所得・山林所得・不動産所得・投資などで得た譲渡所得の4つです。
NISAで得た利益は非課税であり、損益通算の対象外です。NISAで損失が出たとしても、課税所得は減らせません。
特定口座や一般口座では、投資の損失を最大で3年間繰り越せて長期間の節税ができます。繰越控除を受けるためには、確定申告が必要です。
NISAは非課税であるため、確定申告が不要であるうえに繰越控除もできません。そもそも、NISAで得た利益はもともと所得に該当しないため、繰越控除できなくとも妥当といえます。そのため、NISAで運用する場合は、できるだけ損失が出ないようにリスクが少ない運用を心がけることが大切です。
非課税であるNISAでは、いくら利益を上げても課税所得が発生しません。したがって扶養控除だけでなく、配偶者控除からも外れずに済みます。ただし、NISAの投資限度額(非課税枠)を超えて投資をする場合、配偶者口座から外れる可能性があるため注意が必要です。
ほかの証券口座でも資産運用を始めるならば、源泉徴収ありの特定口座を選びましょう。源泉徴収なしの特定口座で利益を得ると、配偶者控除から外れる場合があります。投資で利益を得ても、世帯年収でみるとマイナスになる恐れがあります。
NISA口座で資産運用して得た利益は非課税になるため確定申告は不要です。NISAは、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3種類にわけられます。非課税のメリットを活かして投資にチャレンジしましょう。
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