NISAで投資をする場合、メリットだけでなくデメリットについても正しく把握しておくことが大切です。この記事では、資産運用の方法を検討している人に向けて、NISAのデメリットを詳しく解説します。デメリットを理解し、NISAで効果的に資産運用を行いましょう。2024年からの新NISAについても概要を解説するため、ぜひ参考にしてください。
NISAは投資の利益が非課税になる制度であり、資産運用のために利用するとメリットがあります。ただし、NISAにはデメリットもあるので、実際に活用する前にデメリットを確認しておくと安心です。デメリットを踏まえてNISAを活用すれば、効果的な運用を実現しやすくなるでしょう。
なお、NISAには「NISA(一般NISA)」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」の3種類あります。この記事では、日本国内に住む20歳以上の人が個別株やREITなどの投資に利用できる「NISA」について解説します。
ここでは、NISA(一般NISA)の概要とともに、メリットや運用のポイントについて解説します。
NISAとは、2014年に始まった「少額投資非課税制度」のことです。非課税枠の範囲なら、利益が出ても課税されません。個人投資家に対する税制優遇制度として設けられました。少額の投資に向いているため、投資の初心者でも利用しやすいです。
NISAの口座で運用している株式や投資信託などで出た利益が非課税となります。売買で出た利益だけでなく、配当金も対象です。制度を利用できるのは最長5年間であり、最大で600万円までが非課税枠となります。
そのため、課税対象となる一般の口座で株式や投資信託などを購入するよりも、手元に多くの利益を残すことが可能です。非課税期間が終了する際にロールオーバーを行えば、さらに5年間非課税枠を利用できます。非課税期間の終了後は、売却したり課税口座に移管したりしても構いません。
また、国内の株式や投資信託の取引手数料が無料となっている金融機関も多いです。
NISAにはさまざまなデメリットもあります。ここでは、具体的なデメリットについて解説します。
NISAで運用できるのは、あくまでも新しく購入する金融商品です。そのため、もともと一般口座や特定口座で保有している株式や投資信託があっても、それをNISA口座に移して運用することはできません。NISAを利用して投資をするには、必ず新しく投資商品を購入する必要があります。
NISA口座は、すべての金融機関をあわせて1人1口座しか開設できません。同じ年でNISAとつみたてNISAの併用はできないため、どちらかを選んで口座を開設する必要があります。
ただし、NISAの種類は1年単位で変更できます。金融機関の変更も可能です。年内に変更するためには、9月30日までに手続きを完了させましょう。なお、金融機関を変更する場合、運用中の商品をそのまま移すことはできないため注意してください。
NISA口座は、金融機関を自由に選んで開設できます。ただし、選ぶ金融機関によって取り扱っている金融商品は異なるため、NISA口座を開設する前に確認しておく必要があります。よく考えずに金融機関を選ぶと、自分が投資したいと思うような金融商品がない可能性もあるでしょう。金融機関の変更には手間もかかるため、気をつけるべきです。
NISAで発生した損益は、ほかの口座との損益通算ができません。NISA口座以外の一般口座や特定口座でも投資を行っている場合は、注意が必要です。
また、NISA口座で損失が発生しても、繰越控除の対象にはなりません。繰越控除とは、損失を翌年以降に繰り越す方法です。複数の口座で資産運用を行っている人は、損益通算や繰越控除についても注意しましょう。
NISAの非課税枠は年度内しか利用できません。未使用分が残っていても、年度をまたいだ繰り越しはできない決まりになっています。非課税枠として利用できるのは、あくまで年間120万円までです。NISAの非課税枠を効率的に使い切るためには、投資信託を選んで投資するのが特におすすめです。
NISAの投資限度額は年間120万円です。そのため、単価が120万円を超えている個別株などについては、NISAで投資できません。120万円を超える投資をする場合、NISAの限度額を超えた分は特定口座または一般口座での運用になります。NISA口座で買付をしたうえで、特定口座または一般口座で残りの金額の買付を行う必要があります。
非課税枠を超えないようにするためには、月10万円以内の投資を目安とすべきです。
状況によっては、NISA口座で損失が出ても課税対象になる可能性があるため注意が必要です。たとえば、5年間の非課税期間の終了後に特定口座または一般口座へ移管する場合は、その時点の価格が取得価格とみなされます。よって、損失が出た状態で移管すると、取得価格以上の価格になった際に税金が発生します。
ただし、5年間の非課税期間の終了後にロールオーバーを行えば、引き続き非課税枠を利用可能です。
投資信託の分配金には、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の2種類があります。一般の口座において普通分配金は課税対象になりますが、元本払戻金(特別分配金)は非課税です。また、損失が出ている場合、元本払戻金(特別分配金)は自分の元本を取り崩して分配されています。
そのため、分配金が元本払戻金(特別分配金)で支払われる投資信託を運用すると、NISA口座の非課税枠を無駄にする恐れがあります。
NISA口座の分配金や配当金の受け取り方は、複数あります。具体的には、ゆうちょ銀行または郵便局、指定の銀行口座、証券会社の取引口座のいずれかで受け取ります。NISA口座の分配金や配当金が非課税となるのは、証券会社の取引口座で受け取る場合のみです。課税されないようにするには、受け取り方にも注意しなければなりません。
証券口座で所有している株式や国債などは、信用取引の際の代用有価証券として認められています。しかし、NISA口座で運用している株式や国債などは、代用有価証券として認められていません。NISA口座で運用している株式や国債を代用有価証券として使用したい場合は、特定口座または一般口座への払い出しが必要です。
NISA口座を開設するには、複雑な手続きが必要です。まずは金融機関を選んで通常の口座を開設します。そのうえで、NISAの申請手続きをしなければなりません。
NISA口座を作るためには、非課税口座開設届出書を提出する必要があります。そのうえで、金融機関は税務署に問い合わせをし、すでにNISA口座が開設されていないか確認をとります。さらに、NISA口座を開設するには、金融機関に対して個人番号も知らせなければなりません。
NISAを利用しても、非課税枠を利用できるのは最長5年までです。非課税期間が過ぎれば、保有している金融商品によって発生する利益に対して税金がかかります。そのため、NISAを利用するなら、5年後に保有している金融商品をどのように扱うか事前に考えておかなければなりません。
非課税期間を過ぎた後の選択肢は3つあります。詳しくは以下で解説します。
NISAの5年間の非課税期間が終了した後は、何らかの手続きが必要です。ここでは、具体的な選択肢について解説します。
ロールオーバーとは、非課税期間が終了する際に保有している金融商品を新しいNISA口座へ移す方法です。ロールオーバーを行えば、再び5年間非課税枠で金融商品を運用できます。ロールオーバーできる金額に上限はありません。ただし、ロールオーバーができるのは、同じ金融機関のNISA口座だけです。
非課税期間終了後の選択肢のひとつとしてロールオーバーがありますが、2019年以降はロールオーバーができません。NISAを利用できるのは2023年までだからです。
ただし、2024年から新NISAが始まるため、新NISAへのロールオーバーなら可能です。新NISAの詳細については後述するため、あわせて参考にしてください。
非課税期間が終了する前に保有している金融商品を売却すれば、売却益には課税されません。NISA口座で保有している金融商品は、購入直後から非課税期間が終わる5年間まで、いつでも好きなタイミングで売却できます。含み益が大きくなったり、非課税期間の終了が近づいてきたりしたら、売却するのもひとつの方法です。
NISAの非課税期間内にロールオーバーや売却をしなければ、NISA口座の金融商品は特定口座や一般口座などに移管されます。非課税期間が終了したときの価格を基準として税金が発生しますが、そのまま運用を続けることが可能です。長期的に投資を続けたいなら、課税口座で運用するのもおすすめです。
つみたてNISAは2037年まで利用できるのに対し、一般NISAとジュニアNISAを利用できるのは2023年までとされていました。しかし、令和2年度の税制改正においてNISA制度の再検討が行われ、一般NISAは新NISAとして2024年以降も利用できるようになっています。
現行のNISAの上限額は120万円であるのに対し、新NISAの上限額は122万円です。新NISAは2段階になっており、20万円までならつみたてNISA、残りの102万円についてはNISAの商品を選択できます。また、ロールオーバーの仕組みも変わり、NISAからの移管も可能になっています。
NISAにはメリットがあるものの、デメリットといえる部分も少なくありません。NISAを上手に活用するためには、デメリットを正確に把握したうえで使いこなすことが大切です。
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