独身者は、将来のためにいくら貯めておけばいいのでしょうか。この記事では、老後資金の準備を考えている独身の人に向けて、老後に必要な資金の目安や得られる収入の目安、生活にかかる費用はいくらなのかなどについて詳しく解説します。今から始められる老後の資金作りの方法もあわせて解説しているため、ぜひ参考にしてください。
定年退職後の生活で必要になる費用はいくらで、年金や退職金などの収入を差し引くと、いくらの資金を確保しておくべきなのか、あらかじめ考えておくことが大切です。以下では、退職後の生活に必要な費用などを解説します。
定年退職後の生活に必要な費用を算出する際は、仕事を辞めてから平均寿命まで何年位生活を送るのか、といった目安で考える必要があります。たとえば、65歳で定年退職した場合、平均寿命の年齢までに男性が約20年間、女性が約25年間分の生活費を確保しておく必要があるといわれています。老後資金の目安を求める際は、退職後から平均寿命までの年数で考えましょう。
老後は誰でも単身者になる可能性があるため、1人で暮らすことを意識したうえで老後資金の準備を行い、経済不安をなくすことが重要です。たとえば、家賃などの固定費を見直す、今よりも安い住居に引っ越す、年金や退職金などの収入金額を確認する、定年退職後の再雇用を検討するなどが挙げられます。
また、男性よりも女性のほうが老後資金を多く確保しておいたほうがよいと考えられています。詳細については、下記の項目で解説しているため、そちらをご覧ください。
一般的に、夫婦世帯は2人分の年金を受給できるため、1人分の受給額で生活しなければならない単身世帯のほうが生活費の負担が大きくなることが考えられます。上記を踏まえると、独身者は資産形成で老後資金を用意しておかなければならないことがわかります。
女性のほうが老後資金を多く用意しておかなければならない理由は、平均寿命が男性よりも長くなる可能性があるためです。また、結婚や育児を機に仕事を退職して専業主婦になる人も多く、社会保険への加入期間が長い人に比べて厚生年金の受給額が減る可能性が高くなります。以上を踏まえ、女性は男性よりも老後資金の用意が必要になるため、早いうちから準備しておきましょう。
独身者が老後に収入源として確保できるものや金額の目安について解説します。
給与以外で収入源となるのが公的年金です。いくら年金を受け取れるかは人によって個人差があります。たとえば、社会保険への加入期間の長さや年金を受給する年齢などです。受給額の目安については、「ねんきんネット」や、自宅に郵送される「ねんきん定期便」で確認できます。以下では、厚生労働省の令和元年度のデータに基づいて、年金の受給額を解説します。
自営業やフリーランスは、社会保険に加入している会社員と異なり、受け取れる年金は国民年金(基礎年金)のみです。国民年金加入者における65歳以上が受け取れる平均月額は、男性が5万8,866円で、女性が5万3,699円となっており、全体では5万5,946円でした。
社会保険に加入している会社員は、国民年金(基礎年金)に加えて厚生年金を受け取れます。65歳以上の厚生年金受給額の月額平均は男性が17万1,305円、女性は10万8,813円で、全体では14万4,268円でした。上記の月額平均からもわかるとおり、女性は男性よりも多くの老後資金を準備しておく必要があります。
企業に所属する会社員は、上記の国民年金(基礎年金)と厚生年金に加えて、企業から退職金や企業年金を受け取れる可能性があります。ただし、退職金や企業年金などの制度を設けていない企業も少なからずあるため、自社で制度が設けられているのか、制度がある場合は退職時にいくら受け取れるのか、受け取る際の条件はあるのかなどを確認しておきましょう。
ここでは、独身者が老後資金として必要になる可能性が高い資金の種類や金額の目安について解説します。
老後の生活に必要な資金は、上述のとおり、夫婦無職世帯よりも単身世帯のほうが割高になる可能性があります。老後の生活資金を準備する必要がある場合は、現時点での生活費で無駄な出費はないか、貯蓄する金額を確保するために切り詰められるものはないかなどを見直しましょう。以下では、生活資金の金額の目安を解説します。
総務省の「家計調査報告(2020年)」によると、65歳以上の高齢者単身無職世帯における実収入の目安は13万6,964円で、社会保険料などを除いた可処分所得は12万5,423円となっています。また、消費支出は13万3,146円とされているため、毎月約7,000円が不足となり、年間通して8万円以上の赤字が推測できます。
※参考:家計調査報告 家計収支編 2020年(令和2年) 平均結果の概要 | 総務省統計局
老後資金として、住まいの修繕などにかかる費用も考慮しておく必要があります。たとえば、リフォーム費用や外壁の塗装費、点検・メンテナンス費用、湯沸し器などの機器の買換えなどです。以下では、住まいにかかる費用として、いくら位の資金を目安に準備しておけばいいのか、目安の金額を解説します。
総務省の「家計調査報告(2020年)」によると、高齢者単身無職世帯の住居に関する支出は消費支出の9.3%を占めており、月平均額は1万2,392円でした。賃貸住宅では毎月家賃がかかり、持ち家がある場合はローンを完済していれば、税金やリフォーム費用のみの支払いとなります。リフォーム代として200~300万円程度は最低限用意しておくことをおすすめします。
※参考:家計調査報告 家計収支編 2020年(令和2年) 平均結果の概要 | 総務省統計局
老後資金として、医療費や介護費などの費用も余裕をもって準備しておくことが大切です。厚生労働省の「医療保険に関する基礎資料(2018年)」によると、生涯医療費は一人あたり2,700万円となっています。そのうち、65~69歳では222万円、70~74歳は267万円、75~79歳は303万円、80~84歳は306万円かかるといわれています。以下では、老後の医療費・介護費にかかる金額の目安を解説します。
※参考:医療保険に関する基礎資料 ~平成30年度の医療費等の状況~| 厚生労働省
65歳~85歳までにかかる医療費の目安は、月額7,537円程度とされており、年間に換算すると9万450円が必要です。医療費だけで9万円以上かかるとなれば、公的年金のみですべてを賄えるとは限りません。また、介護施設や在宅介護サービスなどの利用料や自宅のリフォーム代、介護用ベッドの購入などにかかる介護費用は約500万円の費用がかかるともいわれています。
※参考:老後にかかる医療費はどれくらい?
※参考:生命保険に関する全国実態調査 | 生命保険文化センター
独身者がいくら位の貯蓄額なのかを確認しておきましょう。貯蓄額を把握するうえで参考になる資料は以下のとおりです。
【金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)」】
・60歳代の単身世帯の金融資産保有額(貯蓄額)の平均 1,335万円(中央値:300万円)
【総務省統計局の「平成26年 全国消費実態調査」】
・単身世帯の貯蓄額の平均(男性:1,118万円、女性:1,279万円)
・高齢単身世帯の貯蓄残高1,000万円以上は全体の4割以上を占める
2人以上の世帯の金融資産保有額(貯蓄額)が1,635万円(中央値:650万円)であるため、単身世帯のほうが貯蓄額は少ないという現状にあることがわかります。
※参考:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和元年)| 金融広報中央委員会
※参考:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)
※参考:平成26年全国消費実態調査 単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果 | 総務省統計局
老後資金が不足している場合は、老後に向けた資金形成を始める必要があります。以下では、資金形成の方法を解説します。
まずは、自身の老後にかかる費用のシミュレーションを行い、老後に向けて貯蓄を始めるようにしましょう。日々の生活資金にもお金がかかるため、達成可能な貯蓄目標を決めることが大切です。無理のないライフプランをたて、毎月いくらを積み立てるのかなど、計画的な貯蓄を行うことをおすすめします。
現時点の固定費の見直しを行うことも大切です。主な固定費は以下のものが挙げられます。
・水道光熱費
・保険料
・通信費
・自動車に関する費用
・教育費
・定期購入
・住居費
住宅ローンが含まれる住居費は、固定費の中でも多くの割合を占めるため、住宅ローンシミュレーションなどを利用して金利が高いとわかった場合は、金利が低いローンに乗り換えるなどの対策を練りましょう。
持ち家がない人は、老後の住居として、介護施設や有料老人ホームへの入居などが考えられます。上述のとおり、住居費は生涯支出の中でも割合が大きいため、老後の生活資金や医療費なども含めて、老後の住まいを検討するようにしましょう。また、持ち家がある人は、住宅の維持費や住宅ローンの残高なども加味して考える必要があります。
一般的な定年退職の年齢は65歳ですが、改正高年齢者雇用安定法によって、60代以降も働き続けるという選択肢もあります。70歳まで働いて収入を増やすことで、安定した収入源を確保しやすくなります。
年金を受け取る年齢は65歳からですが、繰り下げ受給を選ぶことで受け取れる年金の月額を増やせます。1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額されるため、仮に70歳まで働いて70歳から年金を受給する場合は約42%の増額が見込めます。ただし、貯蓄額や健康状態などによって状況は変わる可能性があることも考慮したうえで検討しましょう。
老後資金を確保するために貯蓄を始める必要があると上述しましたが、低金利のため預金をしたままでは効率よく資産を増やせません。資産形成におすすめの方法として、iDeCo(個人型確定拠出年金)や、つみたてNISAなどの活用が挙げられます。どちらも利益は非課税になるため、節税にも有効です。ただし、元本割れのリスクもあるため、投資先は慎重に選びましょう。
なるべく低リスクの資産運用をしたい場合は、個人年金保険を検討しましょう。個人年金保険は生命保険の一種で、毎月支払う保険料を積み立てて、満期日になると年金を受け取れます。また、金融機関の定期預金の金利よりも利回りがよいといわれています。ただし、保険会社が倒産すれば、年金額が減少する可能性もあるため注意が必要です。
独身者は老後資金がいくらかかるのかを把握したうえで、不足額を補うための対策を考えましょう。効率的に資産を増やすなら資産形成がおすすめです。ただし、投資先によって元本割れなどのリスクもあるため、正しい知識を学んでから投資先を選ぶことが大切です。
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