一般的に、老後資金として2,000万円が必要だといわれています。ただし、これは年金に加入している場合です。年金がない場合、老後資金として用意すべき金額はさらに多くなります。
この記事では、年金がなくて不安を感じている人に向けて、老後資金として必要な金額を解説します。具体的な対策についても解説するため、ぜひ役立ててください。
老後資金として必要な金額はどの程度なのでしょうか。ここでは、具体的な必要額について解説します。
総務省が公表している調査結果によれば、65歳以上の夫婦のみで生活している無職の世帯の場合、1ヶ月の消費支出は平均22万4,390円です。また、 65歳以上で無職の単身世帯の場合、1ヶ月の消費支出は平均13万3,146円となっています。老後の生活を維持するためには、最低でもこの程度の金額を確保する必要があります。
厚生労働省が公表している調査結果によると、平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.64歳です。
たとえば、夫婦が同い年で寿命が85歳までだとしましょう。1ヶ月の消費支出を22万4,390円とすると、60歳以降の老後に必要な資金は「22万4,390円×12ヶ月×20年=約5,385万円」です。年金がないなら、老後資金として5,000万円以上を用意しておく必要があるとわかります。
老後資金としては5,000万円以上が必要ですが、これに含まれているのは基本的な生活費のみです。ここでは、生活費のほかに用意しておくべき資金について解説します。
老後もある程度のゆとりをもち、自分たちの時間を楽しみたいなら、旅行や趣味のための資金も必要です。現役時代は忙しくて時間に余裕がなくても、老後は旅行や趣味を楽しみたいと考えている人は少なくありません。旅行や趣味のための資金を無理なく確保するためには、なるべく早いうちから計画的に資金を確保する必要があります。
子どもがいる場合、自分たちの老後に発生する子どもや孫のライフイベントも考慮して資金を用意しておくと安心です。ライフイベントにおいてはまとまったお金が必要になるケースが多く、子どもに対して援助したりお祝い金を渡したりする可能性があります。たとえば、子どもの結婚、孫の誕生、新居の購入などのライフイベントがあげられます。帰省の際、子どもへ交通費を渡すケースもあるでしょう。
高齢になると、医療や介護が必要になる可能性は高まります。高齢者の入院費の目安は、1日あたり約1万円です。年齢が上がるほど入院日数も長引く傾向があるため、万が一の事態に備えて資金を用意しておく必要があります。
特に、80歳以上になると介護認定になる人が増えるので、必要な介護を受けられるよう準備しておきましょう。利用できる公共の制度も確認しておくと、具体的にどの程度の費用が必要になるのかイメージしやすくなります。
老後資金について考えるうえでは、自分たちが亡くなった後にかかる費用についても確認しておくべきです。葬儀費用だけでも、平均で約119万円がかかるという調査結果が出ています。亡くなる前の入院費用や、死後に家財を処分するための費用なども用意しておく必要があります。
年金がない人は、老後に備えてどのように資金を確保すればいいのでしょうか。ここでは、今から取り組める具体的な対策を5つ解説します。
老後資金を貯めるための方法として最も簡単なのは、コツコツ貯金することです。資産運用とは異なり、元本割れするリスクがない安全な方法です。普段なかなか貯金できない人は、お金を使う前に貯金する先取り貯金に取り組みましょう。収入が入った時点で貯金するお金をわければ、着実に貯金を増やせます。
老後資金を貯める方法としては、保険に入るのもひとつの手です。特に、貯金ができるタイプの保険なら、老後資金を蓄えながら万が一の場合に補償を受けられます。貯金ができるタイプでなくても、早いうちから保険に入っていれば病気やケガをした場合の医療費を補填できます。死後精算の費用を貯めるためにも役立つので、加入を検討しましょう。
老後資金を貯めるためには、生活費を抑えてお金を貯金や保険へ回せるようにする必要があります。たとえば、スマートフォンやインターネット回線などの通信費を見直すだけでも、ある程度の節約につながります。住宅ローンを見直したり、自動車を手放したりするのもひとつの方法です。無駄を省き、なるべく多くのお金を老後にとっておけるようにしましょう。
すでにある程度の資産がある場合は、資産運用に取り組むと老後資金を確保しやすくなります。以下では、具体的な3つの資産運用の方法について解説します。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、任意で加入できる年金制度です。加入するかどうかや金額は自分で自由に決められます。また、資産運用の方法も定期預金、保険、投資信託などさまざまな商品のなかから選択可能です。月々の掛金は全額所得控除の対象になるため、節税の効果も期待できます。
つみたてNISA(少額投資非課税制度)は、資産運用の利益が非課税になる制度です。年間120万円までの投資金額が対象となります。
元本は保証されないため、なるべく安全性の高い商品を選んで運用する必要があります。リスクを抑えるためには、インデックスファンドを10年以上かけて長期運用する方法がおすすめです。
個人向け国債は、国が発行している債券です。国債は債券のなかでも特に安全性が高いといわれています。ただし、元本割れするリスクもゼロではなく、慎重に検討したうえで選ばなければなりません。1万円単位で購入できるため、あまり資金がない場合でも資産状況にあわせて購入できます。
資産状況は、人によってまったく異なっています。自分にとって最適な老後資金について知るためには、プロに相談するとスムーズです。ファイナンシャルプランナーなどに相談すれば、専門的な目線から必要な老後資金の金額を割り出してもらえます。対策についても提案してもらえるため、相談して早めに老後資金の準備を始めましょう。
年金がない場合、老後を迎えてから始められる対策もあります。ここでは、具体的な5つの対策について解説します。
年金がなくて老後資金が不足している場合は、老後も働くと不足分を補えます。厚生労働省が発表しているデータによると、66歳以上で働ける企業の割合は33.4%、70歳以上で働ける企業の割合は31.5%です。老後でも働ける企業は年々増加しているため、今後さらに高齢者が働きやすい環境が整う可能性があります。
条件によっては、60歳以降でも国民年金に任意加入できる場合があります。具体的には、60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない人や、納付期間が短いために満額受給できない人などが対象となります。さかのぼって任意加入することはできないため、希望する場合は早めに検討しましょう。
※参考:任意加入制度|日本年金機構
老後に資金を確保するためには、持ち家をリースバックする方法もあります。リースバックとは持ち家を売却して代金を受け取り、その後も家賃を支払って自宅に住み続ける方法です。売却代金を老後資金に回せるため、年金がない場合でも必要な費用を確保できます。ただし、自分たちが亡くなった後に子どもへ自宅を相続できない点に注意が必要です。
一定の条件を満たしているなら、子どもの扶養に入るのもひとつの手です。収入が低い場合は、子どもの扶養に入ることを検討してみましょう。扶養に入れば健康保険料を自分で負担する必要がなくなるため、大幅な節約になります。子どもの健康保険料が増えるわけではなく、節税の効果も期待できます。
老後資金がどうしても足りないなら、生活保護を申請しましょう。申請が認められると、日常生活を送るために必要な最低限の資金を受け取れます。ただし、生活保護を受けるとクレジットカードを作ったりローンを組んだりできなくなります。また、贅沢品の所有も認められません。デメリットも理解したうえで、申請を検討してください。
年金がない場合、老後資金として最低でも5,000万円以上用意する必要があります。ほかにも資金が必要になる可能性があるため、なるべく早いうちから対策を始めることが大切です。老後資金を確保する方法はたくさんあります。
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