ねんきん定期便とは、その人が加入している年金について、加入内容や、もらえる金額の見込み額などを記入して届けられる、年金関連のお知らせです。ねんきん定期便を読むことができれば年金についての疑問が解消することもあります。
この記事では、ねんきん定期便がいつ届くかといったことや、ねんきん定期便の見方などを解説します。ねんきん定期便についてくわしく知りたい方は参考にしてください。
ねんきん定期便とは、当人の年金への加入状況や現時点での支払い状況、このまま変更なく支払いが続けばどれくらいの年金がもらえるか、といったようなことが、ハガキや封書で届くものです。
2007年に起こった公的年金に関わる納付の記録漏れ問題、いわゆる「消えた年金問題」をきっかけに、国民に自分の年金について理解・把握してもらい、年金制度への信頼度を確保する目的で配送されるようになりました。
ねんきん定期便は、毎年誕生月の2ヶ月前に作成され、誕生月に届くように発送されています。ただし、毎月1日生まれの方については例外的に3ヶ月前に作成し、前月のうちに届きます。
毎年、自分の誕生日が近くなったら、ねんきん定期便の到着を気に掛けておくといいでしょう。ねんきん定期便の到着が待てないときは、インターネット上の「ねんきんネット」でも自分の年金記録が通年で確認可能です。
ねんきん定期便にはどのような内容が書かれているのでしょうか。ねんきん定期便の内容について解説します。
ねんきん定期便は毎年送られますが、このうち自分が35歳、45歳、59歳のときはハガキではなく封書で届きます。これがねんきん定期便における「節目の年」です。
封書で届くねんきん定期便には、これまでの年金加入履歴、厚生年金保険における標準報酬月額など、年金保険料の納付状況が細かく書かれています。これまでに納付した全期間の年金記録を一覧で確認することができます。
自分の経歴と照合して不審な点があれば、早めに確認を取ることで年金記録のミスなども防げます。また35歳のときと45歳のときは、加入実績に応じた年金額、59歳はもらえる年金の見込み額が確認できます。
上記「節目の年」に該当しない年には、ハガキでねんきん定期便が届きます。
ハガキのねんきん定期便には、これまでの年金の加入期間に加え、直近1年間の年金の納付状況が記録されています。また50歳未満の人は加入実績に応じた年金額、50歳以上の人はもらえる年金見込み額を確認することができます。
50歳以上の場合には、老齢年金の見込み額だけではなく、年金の種類も確認可能です。ただしここで確認できるのは、ねんきん定期便が送られた時点での年金への加入条件が、60歳まで変わらない場合の金額です。勤務状況が変わったりするともらえる予定額も変動します。
ねんきん定期便は毎年、加入者全員に届くはずですが、ねんきん定期便が届かないこともあります。届かない理由について解説します。
まずねんきん定期便を発送する日本年金機構に届けられた氏名や住所が異なっていることが考えられます。とりわけ、引っ越しや結婚による変更が届けられていないためにねんきん定期便が届かないことはよくあるでしょう。
マイナンバーと基礎年金番号が紐づいている場合は、原則、日本年金機構に届け出はいらず自動的に変更されます。国民年金第1号被保険者の場合は市役所、区役所、町村役場などへ、それ以外の場合は年金を管理する事業主や、配偶者の勤務先の事業主へ届け出をおこないましょう。
1997年1月以降に年金制度に加入していない場合は、基礎年金番号が割り振られていない可能性があります。
基礎年金番号は、1997年に導入された一人に一つ割り振られる番号です。4桁の数字と6桁の数字をハイフンでつないだ形の番号となっています。年金手帳に書かれていますが、ねんきん定期便には個人情報保護の観点から、基礎年金番号が書かれていません。
もし基礎年金番号に心当たりがない、年金手帳で確認できない、というような場合は、近くの年金事務所に問い合わせてみましょう。
ねんきん定期便は、処理のミスにより届かない場合もあります。ねんきん定期便の配送に関わっているのは、日本年金機構だけではなく、年金を管理している会社あるいは配偶者の会社、市役所、区役所、町村役場などのさまざまな機関です。このうちのどこかで申請ミスや漏れがあると、正常にねんきん定期便が発行されないことが考えられます。
ねんきん定期便が届かない場合は、必ず役所の窓口で確認しましょう。
誕生月から1ヶ月以上経ってもねんきん定期便が送られてこない場合、窓口に問い合わせをする必要があります。ここでは、ねんきん定期便が届かない場合の問い合わせ方法について、ケース別にまとめました。
国民年金に加入している場合は、近くの市町村役場の年金担当窓口へ相談しましょう。
引っ越しなどで住所や氏名の変更が必要な場合は、新しい住所地の窓口が担当となっています。国民年金手帳と印鑑を持って窓口へ問い合わせてください。代理人が申請をおこなう場合は、委任状のほかに代理人の印鑑と本人確認書類も必要です。
厚生年金や共済年金に加入している場合は、それぞれが加入している会社や学校、組合への相談が必要です。住所変更も含めて市町村役場では手続きできないため注意してください。
会社員であれば、社内の担当部署に連絡しましょう。私学共済は学校、公務員共済連合会は共済組合への連絡で、ねんきん定期便や住所について確認を取ることができます。
厚生年金加入者の扶養で年金に加入している方は、配偶者の勤務先で問い合わせや手続きをおこなう必要があります。
とくに配偶者にはねんきん定期便が届いているにもかかわらず自分だけに届かない場合は、手続きがどこかで滞り、うまくいっていない可能性が高いでしょう。年金の加入状況を含めてしっかり確認を取るのがおすすめです。
ねんきん定期便のデータは、ねんきんネットに登録することで、インターネット経由で閲覧できるものです。したがってねんきんネットに登録していれば、送付をやめることもできます。ねんきんネットの登録時には基礎年金番号が必要です。年金手帳などで確認しましょう。
ねんきん定期便に書かれているアクセスキーがわかる場合、日本年金機構のホームページからすぐにIDを取得できます。もしアクセスキーがわからない場合は、日本年金機構のホームページ上から新規利用登録をおこないましょう。郵送でIDを届けてもらえます。
届いたねんきん定期便は、どのように見れば良いのでしょうか。ねんきん定期便の見方について解説します。
50歳未満の場合、ねんきん定期便の記載事項は以下のとおりです。
・照会番号:日本年金機構への問い合わせなどに使う番号
・これまでの加入実績に応じた年金額:これまでに納付した保険料から算出される、65歳以降にもらえる予定の年金の金額(年額)
・お客様へのお知らせ:住所など、日本年金機構からの確認事項や各種お知らせ
・国民年金(第1号・第3号)納付状況:国民年金の納付記録の有無
・加入区分:厚生年金保険の加入区分。会社員であれば「厚年」など
・標準報酬月額・標準賞与額・保険料納付額:実際に会社からもらっている報酬額の水準
50歳以上の方に届くねんきん定期便の見方は、以下のとおりです。
・これまでの保険料納付額:これまでに納付してきた保険料の総額
・これまでの年金加入期間:これまでに総合して何ヶ月ずつ、どの年金に加入しているかの記録
・これまでの加入実績に応じた年金額:これまでの加入状況のまま60歳まで年金を納付した場合、65歳以降に受け取れる年金の見込み金額(年額)
・お客様のアクセスキー:WEBでねんきん定期便にアクセスする際に必要になるアクセスキー
・音声コード:目の不自由な方が音声で案内を受けることのできるコード
ねんきん定期便を見て、受給額が少ないと思った場合は増やす方法もあります。金額に不安のある場合は試してみるのもおすすめです。
働く期間を長くすることで、年金の受給額を増やすことができます。
ねんきん定期便に書いてある受給の見込み額は、60歳まで年金に加入し、年金を納付することを前提に計算された金額です。しかし60歳以降も仕事をして、引き続き厚生年金に加入していれば、実績に応じて受給金額を増やすことが可能です。
とくに現在、年金の受給額は原則65歳からとなっています。60歳で退職し、65歳で受給する場合は5年間の空白が生まれることになるため、65歳まで仕事をするという人も増えているでしょう。
老齢基礎年金、老齢厚生年金について、年金受給の年齢を繰り下げる、繰り下げ受給制度を利用する方法もあります。
現在の制度では原則65歳からの年金受給を、70歳まで繰り下げることが可能です。2022年4月以降は75歳までの繰り下げが可能になります。繰り下げ受給を選択した場合、年金受給額の増額幅は1ヶ月繰り下げるごとに0.7%です。
繰り下げ受給したとして、12年間受給を継続すれば、受給総額が65歳から受給する場合を上回ります。12年間は受け取らないと損になってしまうことに加えて、繰り下げ受給によって所得税や社会保険料が増える側面もあり注意が必要です。
ねんきん定期便は、毎年の誕生月に届きます。ねんきん定期便のなかには、これまでに納付した年金の記録や、年金をいくらもらえるかといった見通しが書かれているため、今後の生活指針の参考にすることもできるでしょう。
とはいえ年金制度をはじめとするお金の問題は、理解が追いつかないと損をしてしまうこともあります。年金の繰り下げ受給など、少しでも多く受給できる方法を知りたいなら、IOSマネーセミナーでお金の仕組みに触れてみませんか。
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