将来のための蓄えや老後資金のために投資をし、資産を増やしたいと考えている人も多いでしょう。しかし、実際にどの程度のお金を投資に回せばよいのかわからない人も少なくありません。この記事では、投資にどのぐらい回せばよいのかわからない人に向けて、貯金と投資の割合、リスクを減らすためのポイントを解説します。ぜひ、参考にしてください。
貯金と投資の割合は、世帯や年代によって異なります。ここでは、金融広報中央委員会が行った、家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)のデータを参考に、単身世帯と二人以上世帯、世帯主の年代(20~70代)の貯金と投資の割合を表にして紹介します。
<単身世帯>
預貯金 |
有価証券 |
保険 |
その他 |
|
---|---|---|---|---|
20代 |
77万円 |
22万円 |
9万円 |
4万円 |
30代 |
167万円 |
113万円 |
32万円 |
16万円 |
40代 |
263万円 |
253万円 |
101万円 |
50万円 |
50代 |
322万円 |
132万円 |
200万円 |
16万円 |
60代 |
555万円 |
485万円 |
238万円 |
28万円 |
全国平均 |
276万円 |
244万円 |
112万円 |
21万円 |
<二人以上世帯>
預貯金 |
有価証券 |
保険 |
その他 |
|
---|---|---|---|---|
20代 |
165万円 |
29万円 |
82万円 |
17万円 |
30代 |
261万円 |
102万円 |
184万円 |
43万円 |
40代 |
473万円 |
137万円 |
348万円 |
54万円 |
50代 |
633万円 |
416万円 |
540万円 |
96万円 |
60代 |
959万円 |
290万円 |
459万円 |
38万円 |
全国平均 |
678万円 |
293万円 |
415万円 |
49万円 |
上記の貯金と投資の割合のデータから、単身者世帯と二人以上世帯のそれぞれの割合を算出しました。
単身世帯の場合は、預貯金の割合が42.3%、有価証は37.4%、保険17.2%、その他3.2%となっています。預貯金が42.3%であるのに対し、投資を合計した割合は57.8%と、投資に回す割合が高くなっていることがわかります。
一方、二人以上世帯は預貯金の割合が47.2%、有価証券20.4%、保険28.9%、その他3.4%です。預貯金が47.2%なのに対して、投資を合計した割合は52.7%と預貯金をわずかに上回っています。このように、二人以上世帯は投資に回すお金が少なくなる傾向にあります。
・20代の貯金と投資の割合
|
単身世帯 |
二人以上世帯 |
---|---|---|
預貯金 |
69.0% |
56.5% |
有価証券 |
20% |
9.9% |
保険 |
8% |
28.1% |
その他 |
4% |
5.8% |
・30代の貯金と投資の割合
|
単身世帯 |
二人以上世帯 |
---|---|---|
預貯金 |
51% |
44.0% |
有価証券 |
34.4% |
17.3% |
保険 |
9.8% |
31.1% |
その他 |
4.9% |
7.3% |
・40代の貯金と投資の割合
|
単身世帯 |
二人以上世帯 |
---|---|---|
預貯金 |
39.4% |
46.7% |
有価証券 |
37.9% |
13.5% |
保険 |
15.1% |
34.4% |
その他 |
7.5% |
5.3% |
・50代の貯金と投資の割合
|
単身世帯 |
二人以上世帯 |
---|---|---|
預貯金 |
48% |
37.6% |
有価証券 |
19.7% |
24.7% |
保険 |
30% |
32.1% |
その他 |
24% |
5.7% |
・60代の貯金と投資の割合
|
単身世帯 |
二人以上世帯 |
---|---|---|
預貯金 |
39.4% |
55.0% |
有価証券 |
37.9% |
16.6% |
保険 |
15.1% |
26.3% |
その他 |
7.5% |
2.2% |
年代によって住宅購入への備えや、子どもの大学進学、退職金の受け取りなどさまざまなライフイベントが起こります。その影響で、預貯金と投資の割合は年代によって大きく変動します。
ライフステージの変化や影響が比較的に少ない、20代から積極的に投資し、結婚や住宅購入、収入の増減に合わせて、貯金とバランスが取れているのか見直す必要がありそうです。
貯金と投資はどのぐらいの割合が適切なのでしょうか。ここでは、貯金と投資の適切な割合を、年齢や収入ごとに解説します。
貯金と投資、どのくらいの割合が適切なのかは一概にはいえません。どの程度の割合が適切なのかは、その人の状況、たとえば年齢や収入、子どもの有無や人数、居住地などさまざまな条件を考慮しなければいけないからです。そのため、何が正解とははっきりいえませんが、年齢や収入をひとつの判断基準として考えるとよいでしょう。
若い世代は将来への準備期間が長いため、長期投資が可能です。また、投資で多少失敗したとしても、働いて収入を得られるため取り返せるチャンスがあります。そのため、少額からでも投資を始めたり、投資割合を高くしたりしてもよいでしょう。
年齢を重ねると投資で失敗した場合、取り返すのが難しくなります。無理に投資して失敗すると大きな損害を被り、老後資金がなくなる可能性もあるため、貯蓄の割合を高くしておくとリスクを減らせます。
収入を目安とする場合は、万が一のために給与の3~6か月分は貯金として持っておくことが重要です。冠婚葬祭や思わぬ事故など、何が起こるかわからないため、すぐに使える生活費は確保しておきましょう。それ以外のお金は、今後10年未満に使うのか、それとも10年以上後に使うのかに分けて、投資に回すことも1つの方法です。
貯金と投資の割合を決めるには、2つのポイントを押さえましょう。ここでは、貯金と投資の割合を決めるポイントを2つ解説します。
まず、お金を用途別に3つに分けましょう。
生活防衛資金とは、生活費や万が一の際にすぐ使える資金のことです。たとえば、病気や事故などで急にお金が必要になるケースもあるでしょう。その際の備えとして、給与の3~6か月程度必要になります。
使う時期が決まっているお金です。たとえば、自動車を購入するための費用や住宅を購入するための頭金というように、明確に用途と使う時期が決まっているお金は、投資に回さずに蓄えておきましょう。
すぐには使わないが準備しておきたいお金のことで、たとえば教育資金や老後資金などです。10年以上かけて準備するものがこれに当たり、長期投資で資産を増やしたり資産の目減りを防いだりするのも効果的です。
3種類のお金を何の目的で、どの程度、いつまでに準備するのかを考えましょう。たとえば、住宅を購入するための頭金として5年以内に400万円用意する、子どもの教育費用として15年後までに1,000万円準備したい、老後資金として2,000万円貯めたいなどのように、具体的に目的を決めましょう。これにより、貯金と投資の割合が自然と決まります。
投資に使える資金がどのくらいあるかによって、適した投資方法は異なります。ここでは、資金ごとのおすすめ投資方法を紹介します。
投資に使える資金が30万円未満の場合には、少額からでも始めやすい「投資信託」が向いています。投資信託とは、投資のプロが複数の投資家から集めた資金を運用するものです。運用を専門家に任せられるため、投資に関する知識があまりなくてもチャレンジしやすいでしょう。
また、投資信託は100円から投資できるものもあるため、資金に余裕がない人や、投資未経験で多くのお金を投資するのに不安がある人にもおすすめです。
30~100万円の資金を用意できるのなら、投資信託の1種である「ETF(上場投資信託)」にチャレンジしてみるのもよいでしょう。ETFは、日経平均株価や東証株価指数などのように、複数の銘柄による指数と連動して運用される点が大きな特徴です。
指標と連動するため値動きが読みやすい、株式のようにリアルタイムでの売買が可能、1つのETFに投資するだけで分散投資できるため元本割れのリスクを軽減できるなど、メリットも多くあります。
100万円以上と多くの資金を投資に回せるのなら、「株式投資」が選択肢の1つとして挙がります。株式は、10万円以上が取引単価となっているケースがほとんどです。そのため、資金に余裕がないと投資は難しいですが、100万円以上あれば十分に投資可能です。
株式を購入すると企業の株主になることができ、サービスや商品の割引、無料利用といった各種優待や、分配金を受け取れるなどのさまざまなメリットがあります。しかし、株価が下がった場合は大きな損失になるケースもあるため、ハイリスクハイリターンな投資です。
リスクを減らして貯金と投資をするためには、3つのポイントを意識しましょう。ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
必要な金額を目標の時期までに用意するには、「先取り貯蓄」がおすすめです。先取り貯蓄とは、給与などの収入が振り込まれた段階で、あらかじめ決めていた金額を貯蓄に回す方法です。生活は、残ったお金でやりくりをします。
貯金をしようと思っても、手元にお金があるとついつい使ってしまう、生活費に使いすぎて貯金に回せないという人も多いでしょう。そのような場合は、先取り貯蓄が向いています。給与天引きや自動積立を利用し、生活費とは別の口座に積み立てるようにすると確実に貯金に回るため、実行しやすいでしょう。
投資をする際には、分散投資を意識しましょう。1つの銘柄や企業にだけ投資すると、失敗した場合に大きな損失を被ってしまいます。そのため、銘柄や地域、時期などを分散させて投資することが重要です。
投資対象はさまざまです。たとえば、株式と一口にいってもさまざまな企業や銘柄があります。これらの値動きはすべてが同じではなく、一方が上がれば一方が下がるというように、異なる動きを見せます。1つの資産や銘柄だけ購入してしまうと、価格が下がった場合大きな損失になるため、複数銘柄を購入するなど、分散して投資することが重要です。
投資は、資産や銘柄だけでなく投資対象が存在する地域もさまざまです。地域が異なれば値動きも変わってくるため、地域を分散して投資することもリスクの軽減につながります。たとえば、国内だけでなくその他の先進国に投資する、発展途上国と組み合わせるなどしましょう。
資産や銘柄は、時間の経過や時期によって値動きが異なります。そのため、一気に投資するのではなく、少額を長期間にわたって投資しましょう。これにより、時間や時期による価格変動のリスクを低減できます。
最終的に得られる金額を予測しながら投資しましょう。投資によって利益を得た場合、利益に応じた税金を支払わなければいけません。株式の売買などによって得られた差益は課税対象のため、そのままの金額が受け取れるわけではなく、損をしたと感じるケースもあるでしょう。
その場合には、NISAの活用も有効な手段です。NISAとは少額投資非課税制度のことで、NISAは年間120万円、つみたてNISAは年間40万円までが非課税となります。
貯金と投資の適切な割合は、個人の状況や年代、収入などによって異なります。貯金と投資の割合を決める際には、お金を目的別に分類し、それぞれをいつまでにいくら貯めるのか明確にしましょう。必要な金額と時期を明確にすることで、貯金と投資の割合が決まりやすくなります。
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